整形外科・リハビリテーション科・麻酔科

当院での治療

「頚椎疾患」

診療部長  堀 清成

1.頚椎症

症 状
  1. 首や肩甲骨付近の痛みや肩こりなどの症状があり、首を動かすと痛みが増したり、首の動きに制限が見られます(局所症状)
  2. 主に片方の首~肩・腕・手にかけての痛み(放散痛)・しびれや力が入りにくい(筋力低下)などの症状が見られます(神経根症)
  3. 両方の手足がしびれたり、手指の細かい動きが緩慢となることでボタンかけや箸の使いづらさ、書字の障害(巧緻運動障害)が見られます。ひどくなると歩行(特に階段昇降や坂道など)にも支障が出て、排尿・排便にも障害が見られます(脊髄症)
原因・病態

頚椎どうしをつなぎ、クッションの役目をしている椎間板は20歳を過ぎると変性する(加齢現象)と言われてます。この変性が進むと椎間板にひびが入ったり、徐々につぶれてくることにより、頚椎にも変形が見られ骨の出っ張り(骨棘)が生じます。これが、神経の出口である椎間孔部で神経根に触れると神経根症を生じ、脊髄の通り道である脊柱管での狭窄が見られると脊髄症を生じます(下図)

脊髄症・神経根症
診 断

症状により頚椎症が考えられる場合にはレントゲン撮影・MRIなどの画像評価を行います。必要があればさらに脊髄造影やCTミエログラフィーなどの検査を行います。

治 療

治療は保存治療が中心で、頚椎を安静に保つために頚椎カラー装具を用いることもあります。薬物療法(消炎鎮痛剤、筋弛緩剤など)や神経ブロックなどでの痛みの軽減を図ります。痛みが軽減したら牽引(間欠牽引、持続牽引)や温熱療法などの物理療法や、運動療法を行うことで筋肉のストレッチや筋力増強を図ります。これらの保存加療を行っても症状軽減しない場合や、脊髄本幹の圧迫による症状(脊髄症)がある場合には手術治療が必要です。

2.頚椎椎間板ヘルニア

症 状
  1. 首や肩甲骨付近の痛みや肩こりなどの症状があり、首を動かすと痛みが増したり、首の動きに制限が見られます(局所症状)
  2. 主に片方の首~肩・腕・手にかけての痛み(放散痛)・しびれや力が入りにくい(筋力低下)などの症状が見られます(神経根症)
  3. 両方の手足がしびれたり、手指の細かい動きが緩慢となることでボタンかけや箸の使いづらさ、書字の障害(巧緻運動障害)が見られます。ひどくなると歩行(特に階段昇降や坂道など)にも支障が出て、排尿・排便にも障害が見られます(脊髄症)
原因・病態
頚椎どうしをつなぎ、クッションの役目をしている椎間板は中心部に髄核と呼ばれる柔らかい組織とその周辺に線維輪と呼ばれる組織からできています。加齢などにより変性し、弾力性を失うことで椎間板に亀裂(ひび)が生じて、内容物が出てくることでヘルニアを生じます。これが、神経の出口である椎間孔部で神経根に触れると神経根症を生じ、脊髄の通り道である脊柱管での狭窄が見られると脊髄症を生じます(下図) 脊髄症・神経根症
診 断

症状により頚椎椎間板ヘルニアが考えられる場合にはレントゲン撮影・MRIなどの画像評価を行います。必要があればさらに脊髄造影やCTミエログラフィーなどの検査を行います。

治 療

治療は保存治療が中心で、頚椎を安静に保つために頚椎カラー装具を用いることもあります。薬物療法(消炎鎮痛剤、筋弛緩剤など)や神経ブロックなどでの痛みの軽減を図ります。痛みが軽減したら牽引(間欠牽引、持続牽引)や温熱療法などの物理療法や、運動療法を行うことで筋肉のストレッチや筋力増強を図ります。これらの保存加療を行っても症状軽減しない場合や、日常生活に支障がある場合、脊髄本幹の圧迫による症状(脊髄症)がある場合には手術治療が必要です。

3.頚椎後縦靭帯骨化症

症 状
  1. 首や肩甲骨付近の痛みや肩こりなどの症状があり、首を動かすと痛みが増したり、首の動きに制限が見られます(局所症状)
  2. 主に片方の首~肩・腕・手にかけての痛み(放散痛)・しびれや力が入りにくい(筋力低下)などの症状が見られます(神経根症)
  3. 両方の手足がしびれたり、手指の細かい動きが緩慢となることでボタンかけや箸の使いづらさ、書字の障害(巧緻運動障害)が見られます。ひどくなると歩行(特に階段昇降や坂道など)にも支障が出て、排尿・排便にも障害が見られます(脊髄症)
原因・病態

後縦靭帯骨化症は頚椎の椎体の後ろ側で脊髄の前に接している後縦靭帯が厚く骨化した病態で、神経を圧迫することで生じます。これが、神経の出口である椎間孔部で神経根を圧迫すると神経根症を生じ、脊髄の通り道である脊柱管で圧迫すると脊髄症を生じます(下図)。また、症状がないか軽くても転倒などのわずかな衝撃で脊髄症状が出現したり悪化したりすることがあります。

診 断

症状により頚椎後縦靭帯骨化症が考えられる場合にはX線(レントゲン)撮影・MRIなどの画像評価を行います。必要があればさらに脊髄造影やCTミエログラフィーなどの検査を行います。CTは骨化の範囲や大きさを判断するのに有用で、MRIは脊髄の圧迫の程度を判断するのに有用です。
頚椎後縦靭帯骨化症では、首を後ろに反らせすぎないこと、仕事や遊び、泥酔などにより転倒・転落することで脊髄症状が出現したり悪化したりすることがあり、くれぐれも注意が必要です。前述のような脊髄症状のため日常生活に支障があり、画像上脊髄にある程度の圧迫があれば手術が必要です。頚椎の後縦靭帯骨化症に対する手術法には、首の前を切開する前方法と後ろ側を切開する後方法があり、各々に長所と短所が存在します。

治 療

治療は症状が軽い場合には、頚椎を安静に保つために頚椎カラー装具を用いたり、薬物療法(消炎鎮痛剤、筋弛緩剤など)を行います。すでに脊髄本幹の圧迫による症状(脊髄症)により、歩行が困難であったり、排尿・排便の機能の異常がある場合や保存治療を行っても症状が軽減しない場合、日常生活に支障がある場合には手術治療が必要です。手術は前方から骨化を除去或いは浮上させ、腸骨からの骨を移植して固定する方法(前方除圧固定術)と後方から椎弓を形成して脊髄の圧迫を解除する方法(脊柱管拡大術)があり、術前の検査結果、病変の部位・範囲・程度に応じて決定します。

当院で施行している頚椎後方低侵襲手術について

1.選択的椎弓形成術

本術式は頚部深層伸筋群を温存し、脊髄圧迫のある部位を選択して除圧を行うことで、術後の頚部痛の軽減、後療法の簡略化に有用であると、平成27年5月に神戸で行われた、第88回日本整形外科学会学術総会で報告した。また、治療成績をまとめた医学論文は医学雑誌『臨床整形外科』第52巻・第1号に掲載しております。
本術式の当院での過去3年の実績:69例(平成26年~平成28年)

適 応
  • 頚椎症性脊髄症
  • 頚椎後縦靭帯骨化症の一部(骨化占拠率が60%未満、術前後弯変形のない症例など)

*除外症例として、術前後弯変形の強い症例や骨化占拠率が60%以上の頚椎後縦靭帯骨化症例などでは前方もしくは後方除圧固定術を検討致します。

手術方法

棘突起に付着する筋肉を温存して展開を行い、棘突起を正中で縦割し、椎弓から離断。あらかじめ術前に設定した除圧幅を目安に顕微鏡下に後方除圧を行います。

症例提示
症例64歳女性。頚部痛、左上肢のしびれ、両手の巧緻運動障害を主訴に来院した。(頚椎症性脊髄症)

MRI-T2強調画像ではC4/5,5/6椎間での脊髄の圧迫を認め、C4/5レベルでは脊髄髄内輝度変化も伴っていた。頚椎症性脊髄症の診断で、C4-C6選択的椎弓形成術を施行した。

術後の症状改善の程度は患者さんにより様々で、術前に正確に改善の程度を予測することは困難です。通常は、病状出現から手術までの期間が長ければ長いほど術後の症状の改善は不十分であると考えられています。手術後は原則として、頸椎カラーを装着して術翌日に離床し、歩行を開始します。通常では、術後10-14日目に退院となります。術前からかなりの歩行障害などが見られる場合には、術後のリハビリテーションが数週間から数ヶ月必要となります。頸椎カラーは頚部の安静を目的として術後約1週間使用します。退院後は2週間に1度程度来院して頂きます。仕事などの社会復帰は術前の症状にもよりますが、通常は術後1-2か月が一応の目安です。本手術は、脊髄に対する圧迫を取り除くことが目的です。

2.顕微鏡下椎間孔拡大術(後方除圧術)

本術式は約3cm程度の小皮切で、顕微鏡と開創器を用いて後方から除圧を行うことで、前方アプローチ特有の合併症である、固定隣接椎間への影響や採骨が不要であること、嗄声・嚥下障害の心配がなく、術後外固定を簡略できる術式であると、平成27年5月に神戸で行われた、第88回日本整形外科学会学術総会で報告した。
本術式の当院での過去5年の実績:53例(平成24年~平成28年)

適 応
  • 頚椎症性神経根症
  • 頚椎椎間板ヘルニア(正中型を除く)
症例提示
症例153歳女性。2か月ほど前より左肩甲部~背部のだるさ、左上肢のしびれ有り。投薬と頚椎牽引・低周波などに保存治療を行うも症状改善見られなかった。

画像検査上、左C7/Th1椎間板ヘルニアを認め、それに伴う、神経根症状出現と考えられ、左C7/Th1顕微鏡下椎間孔拡大術+ヘルニア摘出術を行った。

症例244歳男性。2~3年程前より頚部痛、左上肢痛、手指シビレあり、近医で治療されるも症状改善なく当院受診した。

画像検査上、骨棘による神経根障害による頚椎症性神経根症と考えられ、左C6/7顕微鏡下椎間孔拡大術を施行した。

頚部神経根症は、発症時は疼痛が強く、日常生活の制限を要するが、投薬・ブロック・物理療法などの保存治療が奏功するので、当初は保存治療を選択致します。しかし、疼痛が長引く場合や、症状の再燃を繰り返す場合には手術治療を選択致します。手術後は原則として、外固定は不要で、術翌日に離床し、歩行を開始します。通常では、術後10-14日目に退院となります。術前から筋力低下や知覚障害などが見られる場合には、術後にリハビリテーションを必要とします。退院後は2週間に1度程度来院して頂きます。仕事などの社会復帰は術前の症状にもよりますが、通常は術後1-2か月が一応の目安です。本手術は、神経根に対する圧迫を取り除くことが目的です。